當麻寺と曼荼羅堂
當麻寺は、奈良県葛城市に所在する古代からの歴史がある寺院である。真言宗と浄土宗が同居している。曼荼羅堂は本堂とも呼ばれており、現在の當麻寺信仰の中核をなしている。昭和27年(1952)に国宝に指定されている。
前回の塔の記事でも書いたが、ガイドの方に伺った話にもう一度触れておく。創建時は金堂と講堂を軸として左右に東塔・西塔を配置した古典的な伽藍であり正面は通例通り南であったが、當麻曼荼羅の信仰が盛んになったことで、東を向いた曼荼羅堂が伽藍の中心的な存在となり、境内へのアクセスは東からとなったらしい。仁王門(東大門)も造られた。現在の門は18世紀中頃のものらしい。
曼荼羅堂は、何度も大きく形を変えながら現在に至っている建造物として有名である。現在のような姿が概ね完成したのは平安時代末期(永暦2年(1161))であるが、奈良時代の前身建物の部材が使われている。礼拝のための空間が付け足されたり、屋根をかけかえたりしながら、中世的な建造物へと生まれ変わった。
曼荼羅堂の形
外観はわりとすっきりまとまっている。建物自体が大きいものであるが、かなり高い基壇の上に建ち存在感がある。社寺建築は緩やかな傾斜地に建つことが多いため、背面より正面の基壇が高くなることも多いが、當麻寺はそれにしても高い。背面も高い。石階段7段くらいはあった気がする。繊細な曼荼羅を守るためだろうか。
一方で中部は複雑である。様々な時代の意匠が入り混じり、柱と斗の取合いに不自然さがあったりして面白い。そのような中に、中世的な上品な錺金物がついてたり繊細な内外陣の結界があったりすると、あぁこれは奈良の建築だなーとしみじみ思うのである。
古い建物を生かしながら、不都合をそのまま大胆に表に見せながら、細部の意匠にはこだわったりするところ。その際どいバランス感覚が曼荼羅堂には溢れていて飽きがこない。
扉が開け放たれた外陣とは打って変わって内陣はとても暗い。浄土の空間は密教と比べると明るいことが多いように思うが、ここは暗い。真言宗の影響なのだろうか。弘法大師参籠の空間があったり、十一面観音を祀る小部屋があったりと密教的な感じがする。複雑な宗教的事情が空間に現れているようで興味深い。










コメント