装飾部材

奈良県

山奥にひっそりたたずむ、控えめながらも個性的な室生寺御影堂

室生寺は、主要な堂宇がある下方の伽藍と、山の中の石階段を上った先にある奥之院の2つのエリアがある。御影堂は奥之院に建っている。外観は簡素なものであり、それほど人目を引くものではない。小ぶりな堂宇である。真言宗の御影堂であるので、弘法大師さまが祀られている。内部は非公開である。
奈良県

正統な構成、正統な美。中世の奈良建築のひとつの理想形 薬師寺東院堂

東院堂は、身舎に4面庇がまわるという至ってシンプルで、オーソドックスなもの。向拝も外陣もないので、横長の平面である。内部にはいっさい壁がなく広々としている。その中心に須弥壇が置かれ、聖観音菩薩立像が祀られる厨子が乗っている。厨子の扉はいつでも開かれており、いつでもご本尊の姿を拝むことができる。
和歌山県

緊張感のある折衷様の中世仏堂 長保寺本堂

長保寺の創建は、寺伝によれば平安時代中期の長保2年(1000)。年号をとって「長保寺」とされた。中世本堂の事例として非常に貴重であり国宝に指定されている。装飾はごく控えめではあるものの、軒反りが大変強く、張り詰めた雰囲気を持つ。向拝柱の礎盤、肘木の笹繰、桟唐戸などの禅宗様の特徴をもつ。細部が破綻なくまとまっていて美しい建築である。鬼瓦が、ゴリラのような顔をしていて愛らしい。これは、奈良県東大寺近くの瓦道という瓦屋さんが製作されたものだそう。
奈良県

穏やかな佇まいの南北朝時代建立の神宮寺 富貴寺本堂

まず目に入ってくるのは奈良らしい寄棟造の瓦屋根であり、また複雑な組物を使わずに舟肘木で丸桁を受ける点などから和様を感じさせるたたずまいであるが、長押を用いない点、扉は桟唐戸とするなど禅宗様の特徴も併せ持つ。向拝蟇股は、奈良近辺の中世建築にふさわしいオーソドックスな形をしている。水引虹梁も同様に、直線の袖切だけのシンプルな意匠であり中世らしい古典的な形である。
寺院

社寺を彩る彫刻についての検討事項

社寺建築では、古くからいろいろな部分が絵様(えよう)≒彫刻によって飾られてきた。懸魚、蟇股、木鼻・拳鼻、手挟み、実肘木、虹梁、などなど・・・・これらは、時代ごとに異なる形をしているため、絵様を見ると建てられた時代が、おおまかに推測できたりする。上にあげた部材は、絵様の出現が古い順番に並べている。懸魚や蟇股や虹梁は奈良時代の建築にはすでにみられる、古い部材である。しかし、積極的に彫刻がされるようになるのは、蟇股は平安時代、実肘木・虹梁は桃山時代以降と思われる。鎌倉時代に、大仏様と禅宗様が伝えられ、木鼻が使われはじめる。大仏様では、繰型だけのシンプルなものであったが、禅宗様では当初から渦を彫った装飾的なものであった。鎌倉時代末期に手挟みが使われ出し、桃山にもなると前述のように実肘木や虹梁にも彫刻をするようになる。
寺院

社寺建築をつくることの昔と今 変わるものと変わらないもの

仏教においては、鎌倉時代までは、新しい宗旨が伝わったり興されたり、思想史的にみてダイナミックな時代だったのではないかと思う。それまで伝統的だった教えと、新たに大陸から輸入された教えで議論が行われながらそれぞれが強化されて、新たな宗旨が定着するとともに古い宗旨も残る。そういった行いそれ自体が切実な意味を持っていたのではないか。