東院伽藍と西院伽藍
法隆寺西院伽藍と比べて、東院伽藍は訪れる人がやや少ないような気がする。一般参拝者は、拝観券によって西院伽藍・大宝蔵院・東院伽藍を参拝することができるが、法隆寺の境内は広く、大宝蔵院までくるとわりかし疲れてしまって、もういいか、という気持ちになってしまう人が多いのではないかと想像する。東院伽藍は、西院伽藍に比べると規模が小さく、建物のインパクトも小さいかもしれない。しかし、その分、魅力が凝縮しているようにも私には感じられる。
西院が法隆寺全体の中での中心的な伽藍であり、日本へ仏教を広める初期の頃の、かなり壮大な思いのもとで創られた(と想像する)のに対して、東院は聖徳太子の追慕のためにつくられた、どちらかといえば静謐さを求められた空間だったのではないだろうか。そのため、伽藍の大きさは必要ではなく、建物の高さも低く、廻廊の中央に円堂を配置するという求心的なプランがとられたのではないだろうか。
夢殿について
八角形平面の円堂と呼ばれる建物として代表的な建物である。建立は天平であるが、現在の形になったのは、鎌倉時代の大改造を伴う修理の時である。当初の建物は、軸部の高さが少し低く、軒が短く屋根勾配も緩かったらしい。確かに、整った屋根まわりの形は中世的である。
このくらいの規模の建物は軒先の長さが短いので、反り方がよくわかる。中世の頃までは、「心反り」といって、軒先の中央から端部にかけて全体的に反らせてつくられている。大規模な建物では目で見てはっきりとはわかりにくいが、小規模な建物では一目瞭然である。
最後になってしまったが、このお堂のご本尊は有名な救世観音立像である。とてもこじんまりとした像であり、表情はやわらかく笑っているようにも見える。春と秋に特別公開が行われているので、ぜひご参拝ください。



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