2022-04

奈良県

聖徳太子追慕のための法隆寺東院夢殿

八角形平面の円堂と呼ばれる建物として代表的な建物である。建立は天平であるが、現在の形になったのは、鎌倉時代の大改造を伴う修理の時である。当初の建物は、軸部の高さが少し低く、軒が短く屋根勾配も緩かったらしい。確かに、整った屋根まわりの形は中世的である。
奈良県

法隆寺という場所について今思うこと

東海地方でそだった筆者がはじめて法隆寺を訪れたのは小学生の修学旅行であった。その頃は、歴史にはまったく興味はなく、法隆寺に対しても興味を持っていたという記憶はない。なんだか地味だし、世界最古の木造建築といわれてもピンとこないし。逆に、金閣寺のような、ピカピカの建物が池に移りこむというわかりやすい美しさに惹かれており、その様子を絵に描こうと何度も試みた記憶はある。
奈良県

重層的な歴史を体現する建築 大直禰子神社社殿

この日の主目的は大神神社摂社大直禰子神社である。読み方は、「おおたたねこじんじゃ」である。ここは、一般には若宮と呼ばれていて、大神神社の主祭神である大物主神の御子大田田根子命を祀っている。大直禰子神社には社務所と、一棟の社殿が建つ。鳥居から社殿は一本の軸線上に並び、社殿の周囲には高木が立ち並ぶ。後述する通り、この社殿は以前はお寺の建物であるので、鳥居越しにお寺の建物が見えるという不思議な景観である。
和歌山県

緊張感のある折衷様の中世仏堂 長保寺本堂

長保寺の創建は、寺伝によれば平安時代中期の長保2年(1000)。年号をとって「長保寺」とされた。中世本堂の事例として非常に貴重であり国宝に指定されている。装飾はごく控えめではあるものの、軒反りが大変強く、張り詰めた雰囲気を持つ。向拝柱の礎盤、肘木の笹繰、桟唐戸などの禅宗様の特徴をもつ。細部が破綻なくまとまっていて美しい建築である。鬼瓦が、ゴリラのような顔をしていて愛らしい。これは、奈良県東大寺近くの瓦道という瓦屋さんが製作されたものだそう。
奈良県

穏やかな佇まいの南北朝時代建立の神宮寺 富貴寺本堂

まず目に入ってくるのは奈良らしい寄棟造の瓦屋根であり、また複雑な組物を使わずに舟肘木で丸桁を受ける点などから和様を感じさせるたたずまいであるが、長押を用いない点、扉は桟唐戸とするなど禅宗様の特徴も併せ持つ。向拝蟇股は、奈良近辺の中世建築にふさわしいオーソドックスな形をしている。水引虹梁も同様に、直線の袖切だけのシンプルな意匠であり中世らしい古典的な形である。